遺族年金と相続

遺族年金と相続について取り上げたいと思います。

夫が亡くなって、妻が遺族年金の受給権を得たとします。
この遺族年金の受給権は、相続財産にあたるのでしょうか。

遺族年金について、受給することが出来る遺族の範囲や順位は年金法の中に定められています。
その内容については、民法で定められている相続人の範囲や順位とは異なっています。

このように、厚生年金法などと民法の規定の内容が異なるのは、なぜでしょうか。

それは、こういうことです。

年金などの社会保障関係は、「遺族自身の生活を保護すること」を目的としているからです。

残された遺族、その人自身の生活を守るため、年金の受給権が認められているのです。
言い方を変えれば、年金受給権は、受給権者自身のためのものです。

ですので、遺族年金受給権は、相続財産(相続開始時、被相続人に帰属していた一切の財産)には含まれないことになります。

そうであれば、民法の相続人の規定と年金法が定める規定とは何ら矛盾していることにはならないわけです。

さらに、相続放棄をしたとしても、遺族年金を受給することは出来るわけです。

これに関連する問題として、「配偶者」に「内縁関係」にあるものも含まれるかということがあります。

年金法は、「残された遺族の生活を保障すること」を目的としています。
あくまで現実の生活を第一に考えるので、事実上の生活実態がどうであったのかが重視されます。

その点から、内縁関係にある場合にも、一定の要件を満たせば遺族年金の受給権が認められる場合があるのです。

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