相続手続き5つのポイント
当センターでは、相続手続きについての相談を数多く行っています。その際、何から始めたらよいかわからないといった声をよくお聴きします。また、費用についてもご心配のことと思います。こうした不安や心配が少しでもなくなるよう、「相続手続きの5つのポイント」についてご説明させていただきます。この「5つのポイント」は、お互いに関連しますの で、説明が重なる箇所もありますが、ぜひお読みいただければと思います。
1.初めに確認すべきこと
初めに確認すべきことは、以下の2点です。
①遺言書があるかどうかの確認
②相続税がかかりそうかどうかの確認
これらの2点について、なぜ初めに確認すべきかというと、①遺言書の有る無し、②相続税がかかるかどうかで、「相続手続きの流れ」がことなってくるからです。「相続手続きの流れ」は、別の言葉で言うと、「何を、いつ、どのような順番で行うか。」ということです。
例えば、遺言書がある場合には、相続人の間での遺産分割の協議を行うのではく、遺言書の内容に従って相続手続きを進めることが原則となります。そして、遺言書が自筆証書遺言である場合には、通常、家庭裁判所での遺言の検認手続きを最初に行う必要があります。また、この他の手続きの内容や順番も変わってきます。つまり、「相続手続きの流れ」がことなってくるのです。
次に、相続税がかかる場合は、相続が生じた時から10か月以内に、担当の税務署に相続税の申告を行うことが必要となります。この期限に間に合わないと、様々な不利益が生じることになるので、期限については、常に頭に入れておかなければなりません。ただし、相続税がかかるのかどうかは、対象となる相続財産を的確に把握していることが前提となります。このことは、次のポイントの「早めに手続きを始めること」にもかかわってきます。
このように、①遺言書の有る無しと②相続税がかかりそうかの2点は特に大切ですので、まず初めに確認するようにしてください。
2.早めに手続きを始めること
ポイント1でもご説明したように、相続税がかかるかどうかを判断するには、早期に相続財産の全体を把握する必要があります。早急に相続財産を把握しておかないと、相続税の申告期限や将来の不動産名義変更(相続登記)の申請期限に間に合わなくなります。
また、相続人の間での話し合いを先延ばしにすると、相続手続きが遅れることが予想されます。さらには、遅れるばかりでなく、相続人の間での話し合い自体が困難になることもあります。相続開始後何年も放っておくと、相続人の間で新たな利害関係が生じたり、相続人自身の相続により、新たな相続人が生じることがあるからです。
そして、何よりも、相続手続きには、期限が定められているものが多くあります。例えば、相続放棄(3か月以内)、相続税の申告(10か月以内)、所得税の準確定申告(4か月以内)などと多くの手続きに期限があります。さらに、不動産の名義変更(相続登記)も義務となり、申請期限が設けられることになる見込みです。こうした期限に間に合わないと、様々な不利益やデメリットがあります。 また、相続から時間が経ってしまうと、提出する書類の数が増えたりして、手続きが複雑になることがあります。
このように、相続手続きを先延ばしにすると、相続手続き自体を行うことが困難になったりすることがあります。もしそうなると、取り返しのつかないことにもなります。相続手続きを円滑に進めるためには、「早めに手続きを始めること」がとても大切です。
3.手続きのゴールを意識すること
相続手続きを行うにあたっては、手続きのゴール(目標)をしっかりと意識することが重要です。言いかえると、目標・結果から逆算して、今どのような手続きをなすべきかを考えていく視点が大切です。さらには、単に手続きを済ませるだけでなく、その先のことまで見通し、考慮に入れて手続きを行うべきといえます。ここでは、手続きのゴール(目標)から考えていく視点について、具体的にご説明したいと思います。
相続手続きの最終ゴール(目標)は、円滑に早期に相続手続きを完了させて、相続人が相続財産を確実に引き継ぐことです。具体的には、不動産の名義変更(相続登記)を行い、預貯金などの解約払戻しにより、各々の相続人の口座に入金がなされることです。また、ただ単に、手続きを行ったというだけでは、最終ゴールに完全に到達したとはいえません。「相続手続きの後に問題が残らないか」を見通し、「将来の2次相続のことまで考えた上での手続き」でなければ、真の意味で相続手続きを完了させたとはいえません。
一例を挙げれば、不動産を共有で相続してしまうと、その後に不動産を売却することが 困難になることがあります。 共有者の間での意見の違いから、日常の不動産の管理にも大きな支障が生じることもあります。 さらに、不動産の相続の仕方によって、将来の2次相続の際に、思わぬ金額の相続税がかかってくることがあります。このように、不動産についてどのように相続するかは、後々まで影響があるので、相続手続きを行う上での大きなポイントになります。
次に、相続手続きを専門家に依頼するに際しても、最終ゴールである、「不動産の名義 変更(相続登記)や預貯金の解約払戻しを確実に行うことができるかどうか」の点が、とても大切となります。相続手続きの専門家について、行政書士や税理士は、不動産の名義変更(相続登記)を行うことができません。預貯金の解約・払戻しの手続きも、法令上認められた業務として行うことができるのは、司法書士と弁護士となります。これらのことからも、相続を開始するにあたって、最終的なゴール(目標)を意識し理解しておかないと、肝心な最終ゴールにたどり着くことができず、途中で手続きが滞ってしまうことにもなりかねません。
最後に、繰り返しとなりますが、単に相続手続きを終わらせるだけでなく、将来のことまでよく考えて手続きを行うことが大切です。ただ、相続手続きは複雑で専門的な面があるので、自分だけではなかなか難しい場合もあると思います。その場合には、安心して相談できる専門家に相談してみることも大切といえます。
4.初めに誰に相談をしたらよいか
誰しも、「費用も節約できて、なるべく早く確実に手続きを行いたい。」との思いを持たれると思います。この思いが実現できるかどうかは、「初めに誰(どの専門家)に相談するか」によって左右されることがあります。この点について、次の2つの視点からご説明をさせていただきます。
まず初めは、「1か所で多くの手続きを行うことができるか。」という点です。1か所で多くの手続きができれば、手続きごとに別の専門家を探す必要が少なくなります。そのために、手続きを迅速・合理的に行うことができます。費用の点についても、個々の手続き費用を積み重ねるのでなく、トータルでの見積りができるなど、柔軟な費用設定が可能になります。また、費用(実費)の重複が避けられ、無駄な費用を省くことにもつながります。このように、費用の点でも経済的です。そして、「1か所で数多くの手続きを行うこと」は、ばらばらに手続き行うことに比べて、統一した方針の下に、計画的に手続きを進めることが可能となります。その結果、責任を持って手続きを行うことができ、時間的なロスもなくなります。
2番目は、「ゴール(最終目標)から考える」という視点です。具体的には、ポイント3でもご説明をした、不動産の名義変更(相続登記)、預貯金解約払戻しなどのゴール(目標)を迅速・確実に行えるかとの点です。この点、行政書士や税理士は、相続手続きの中でとても重要な、不動産の名義変更を行うことができません。また、預貯金の解約払戻しの手続きについても、法令上、本来の業務として行えるのは、司法書士と弁護士となります。
司法書士の場合、戸籍の取得・調査から、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請といった一連の不動産の名義変更の手続きを一貫して行うことができます。また、「遺産承継業務」として、預貯金や証券などの相続手続きを行うことが司法書士には法令上も認められています。当センターの場合は、社会保険労務士の事務所でもあるので、このほかに遺族年金など 年金の手続きも迅速・確実に行うことができます。
以上ご説明させていただいたことからも、「費用も節約できて、なるべく早く確実に手続きを行いたい。」との最終的な目標・思いは、「初めに誰(どの専門家)に相談するか」に大きくかかわってきます。繰り返しとなりますが、相続手続きでは、初めの相談がとても大切となるのです。
5.相続手続きの費用の注意点
相続手続きの「費用」については、多くの方が関心を持たれると思います。しかし、「費用」に関して、実際、余り詳しくは知らない方が多いのではないでしょうか。特に、初めて相続手続きを行うという方は、「費用」について不安を持たれることと思います。ここでは、「費用」について、知っておいた方がよい内容・注意点について、具体例を挙げてご説明をさせていただきます。
まず前提として、司法書士、行政書士、税理士などの専門家の報酬については、規則で定められた金額があるわけではありません。そのため、専門家の報酬は、各事務所ごとにことなっています。しかし、そうはいっても、ある程度の標準的な報酬額といえるものはあると思います。その一方で、標準的な報酬金額と比べて、かなり高額な報酬を設定しているケースが実際にあると思われ、この点は注意が必要です。ここでは、いくつかの具体的な事例についてご説明をしたいと思います。
まず1点目は、不動産の相続手続きに関する内容です。ここでは、行政書士や行政書士法人に不動産の相続手続きを依頼する場合を例にご説明いたします。行政書士や行政書士法人は、戸籍の取得や遺産分割協議書の作成は行えますが、その後の不動産の名義変更(相続登記)を行うことができません。そのため、相続登記については、別途司法書士に依頼をしなくてはならなくなります。初めから司法書士に依頼していれば、戸籍取得、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請まで、不動産名義変更の一連の手続きをすべて行うことができます。ただ、行政書士の方で、提携の司法書士の紹介をしてくれることも多いとは思います。しかし、行政書士と司法書士との別々の専門家(事務所)に依頼をする場合、2箇所から報酬がかかることになります。そのために、トータルの報酬額がかなり割高となってしまうことがあります。専門家に依頼するにあたって、この点は知っておいた方がよいといえます。
2点目は、税理士の相続税申告の報酬についてです。相続税の申告の報酬は、相続財産の金額などによりことなりますが、報酬設定について、個々の税理士事務所によってかなりの開きがあるように思います。例えば、同じ内容の相続税の申告報酬について、ある税理士は80万円なのに、別の税理士では30万円ということがあるということです。この点、司法書士の不動産名義変更の報酬も、各事務所によってことなりますが、このような大きな開きはないように思います。(一般には、数万円の差にとどまると思います。)
以上、2つの具体例を挙げましたが、「費用」についても、「1か所で多くの手続きを行うことができるか」ということがポイントとなります。個別の手続きを別々の事務所に依頼するよりも、1か所で手続きを済ませた方が、費用の面でも経済的といえます。また、余計な費用を省くこともできます。また、大切なことは、「費用」についての必要な情報を知るということです。知らないがために、思わぬ金額の費用を負担したりすることが実際にあるのです。
最後に、当センターは、相続手続きに専門特化した事務所として、これまで多くの方からの相談・ご依頼をいただいてきました。その中で、多くの経験と実績を積んできました。 また、税理士、弁護士、土地家屋調査士などの他の相続の専門家とも万全の連携体制を築いています。相続手続きついて、わからないことや不安なことなどがありましたら、ぜひ当センターにご相談ください。心を込めて、全力でサポートをさせていただきます。
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